安心安全な農場の基準

GAP/JGAPについて

 GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは農業の認証です。

 

 GAPとは農業における、

食品安全・環境保全・労働安全 等

の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みをさします。(農林水産省HP

GAP/JGAPって何??

 

 ◎食品安全

 ・農薬等の薬品の使用について記録簿を残す

 ・食品衛生法に適合した使い捨てゴム手袋の使用

 ◎環境保全

 ・土壌の改善・地域景観の向上

 ◎労働安全

 ・体調の聞き取り

 ・掲示物による緊急時対応の共有

 

等を通して農業活動の改善に取り組んでいます。

 

 GAP/JGAPは120以上の項目の基準について、第三者機関による調査を経て出される認証です。それぞれの基準は生産物の信頼性の向上、企業価値の向上に貢献します。

 

 第三者認証を取得する過程で、

・生産工程が明確になることでこれまで可視化されていなかったコストや農場経営のノウハウの部分が表出することによって生産性の向上やリスク管理の向上が期待できること

 ・農薬や肥料の使用量が明確になるため環境負荷の低減や、食品安全性の向上につながること

 ・安全面について働き手への配慮が進むことで労働環境が向上すること

 

以上についての効果が期待でき、認証を受けている農園には上記の信頼があると考えられます。

 

⇒JGAPに関する当園での具体的な取り組みについてはコチラ

 

 GAPは農業生産全般についての生産工程管理についての基準ですが、認証を出す運営機関によって名称や重要とされていることの細かい特徴が異なります。

 

 例えば、ドイツに本部を置くFood PLUS GmbHが認証を行うのがGLOVALG.A.P、一般財団法人日本GAP協会が認証を行うのがJGAPです。国内での取得率はGAP/JGAPを合わせて全農家の1パーセント程度(2019年8月現在)、その中でJGAPの傾向としては認証を取得している農家が多く、JGAPは生産工程仮の中でも農作物の質に重きをおいていること、労働環境における人権についても明記されているところに特徴があるといわれています。

GLOVALG.A.P

(グローバルGAP)

 グローバルGAPとは世界基準の農業認証のことです。グローバルGAPは、食品安全、環境保全、労働安全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する有力企業に与えられる世界共通ブランドです。

 

 ヨーロッパで生まれた考え方で、ヨーロッパ輸出の際にはGAP認証を取得していることが要件になることが多く、オリンピック等国際競技で使用される野菜の要件にもなっている国際的な基準です。日本では2020東京オリンピックに向け徐々に浸透してきています。

 

グローバルGAPに関する更に詳しい情報はこちら

https://www.ggap.jp/?page_id=35


JGAP(ジャパンGAP)

 ジャパンGAPはGAP認証の世界的な浸透を受け生まれた日本発の認証制度です。2006年に一般財団法人日本GAP協会が設立され、翌2007年から第三者認証制度が始まりました。2019年9月現在1300件以上の個別認証・団体認証があり、日本国内において主流のGAP認証制度です。JGAPの対象は青果物・穀物・茶で、これらの農産物には認証取得後にJGAPの認証マークを付けることができます。

 

 国内大手スーパー等では、上記のGAP/JGAP認証を受けている農家以外と取引をしない企業も増えており、今後日本の農業現場に更に浸透していくことが見込まれています。

 

JGAPに関する更に詳しい情報はこちら

http://jgap.jp/index.html


GAP普及の背景と現状

≪GAP普及の背景≫

 食の安全や農産物の安全に関する問題がニュースや新聞等メディアで日常的に報じられています。生産現場、加工現場では食品の表示や産地偽装、残留農薬や東日本大震災後の放射性物質についての問題から食中毒の問題まで幅広い対応が必要です。

 

 また、以上のような度重なる食品や農産物の安全・安心にかかわる問題の発生から、農業・食品産業全体として消費者の信頼を得る行動が強く求められています。しかし、農業生産の現場では小規模・少人数の個人事業主が多く、コスト負担や時間の負担の問題から難題として山積みになっているのが日本農業界の実情と言えます。

 

 そこで、農業の生産現場、食材を扱う加工現場、商品を取り扱う小売現場において、農産物の安全を確保するための農場管理手法としてその効果が認められ浸透してきているのがGAPです。GAPは導入についての費用対効果の面から、現時点で最も現実的な手法であるとされ、この20年程度でGAP発祥の地であるヨーロッパを中心に世界中で急速に利用が拡大しています。その有用性の高さから中国やタイでは農産物ビジネスにおける国家戦略に位置付けられ、WTO(世界貿易機関)でも取り上げられるほどに、現在現場から国家の単位に至るまで注目されてきています。

 

≪GAP/JGAPの現状≫

 GAPは全ての農業生産者が利用できる汎用性の高い農場管理手法であり、導入コストについても農業生産者が商業的に許容できる範囲に設計された普及されやすい手法で、今後も日本、世界で拡がっていく手法であると考えられています。

 

 GAP導入によるメリットは多方面に及びます。JGAPは120以上のチェックリストを経て認証される第三者認証制度であるため、JGAP認証は「安全性の高い農産物を生産できる農場の目印」です。

▶生産者(農場)

・生産物の安全の確保、環境に配慮した持続的な農業の実現による土壌の改善等。

・労働安全面の確保による従業員の環境改善や職場としての魅力の高まりによる労働力の維持。

・流通・小売・消費者などの買手との信頼関係の構築。

・流通・加工・小売・消費者:安心して買い、卸し、使い、食べることができる食材の確保。

 

以上により、GAP/JGAP認証を得た農場は、消費者の皆様、農産物バイヤーの皆様、加工現場の皆様をはじめとする食材を触る全ての方にとって安心して購入・取引できる農場であるといえます。

 

 GAP/JGAP取得により実現する「農場管理」は本来全ての農場に存在する仕事です。労務管理、農薬の管理、販売管理や生産環境の整備など、どれも欠かすことができない仕事です。

 GAP/JGAP認証を受けているということは、これらを実行しているという証明であり、本来すべき当り前のことを当り前に実行し、生産現場で起こりうるあらゆる問題に未然に対応しているという証明となります。

 当園では日ごろから農具、機材の定位置管理と整理整頓を行っています。日常的に使用するハサミや包丁は使用後時間を空けずに水洗いし定位置に、布巾などは漂白洗いをして除菌したうえで乾燥させ使用しています。

 

 また、東京都内の学校給食への出荷が全体の出荷の割合の多くを占める当園では、学校の長期休みの期間に合わせて日ごろ清掃の行き届かない部分(ガラスハウスのガラスの汚れ落とし、日々使用する保冷庫の内部の簀子や床清掃等)の掃除を行っています。保冷庫や作業場の大掃除は春休み、夏休み、冬休みの年3回行っており、2台ある保冷庫はどちらも購入した当時と同様の白さを保つことができています。



‣JGAP認証の有効期間は??

 

 JGAP認証の有効期間は認証日から2年間です。当園の場合2019年3月の認証なので初回の有効期間は2021年3月まででした。

 

 農場が初めて受ける審査を「初回審査」と呼び、認証の更新の為に2年後に受ける審査を「更新審査」と呼びます。「初回審査」と「更新審査」に大きな違いはありません。

 

 「初回審査」と「更新審査」の中間で1度審査を受ける必要があり、これを「維持審査」と呼びます。「維持審査」の時期はJGAP審査・認証機関側が指定し、当該農園にとって特に重要な生産工程(管理・作業)が行われている時期に実施するルールとなっています。当園では2020年2月に維持審査を実施、2022年3月に更新審査を行いました。